家を楽しむ おいしい生活タイトル4
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 今年は秋の入り口にさしかかるのが少し早い気がしますね。朝晩すっかり涼しく過ごしやすくなってくると、村上春樹でも読みながらソファに深く腰掛けて、ゆっくりとあたたかい珈琲が飲みたくなります。静かな鈴虫の音色に混じって、遠くの電車の音がちょっとノスタルジックに聞こえてくるような時間。

 さて、今回はそんなひと時を楽しむための、いつものペーパードリップとは違う2つの淹れ方――フレンチプレスとエアロプレスをご紹介しましょう。これを使うと、同じ豆なのにペーパードリップで淹れたときとは別の豆に感じるほど。今年の秋の夜長は、ひと味ちがう淹れかたで楽しんでみませんか?

【準備するもの】 *ここではいずれも1杯分120ccを淹れるレシピをご紹介しています。
・フレンチプレス本体/エアロプレス本体
・珈琲豆(なるべく新しくて挽きたてのもの)12~17g
・お湯 500cc程度(器具やカップの湯煎用も含む)
・キッチンタイマーやストップウォッチ

1.フレンチプレス――豆の味をダイレクトに楽しむ

 ビーカーに珈琲豆とお湯を入れて混ぜ合わせたものを、金属のフィルターで濾して淹れる抽出器具です。もしかすると紅茶を淹れる器具としてのほうが知られているかもしれません。

 フィルターの目がペーパーと比べて大きいので、これで淹れた珈琲は、ペーパーでなら濾し取られてしまう油分や、フィルターより細かい珈琲の粉(微粉)も、珈琲液といっしょになって出てきます。それは珈琲豆本来の味がほぼそのまま抽出されるということ。

 一方ではやや粉っぽい口当たりになってしまうというデメリットもありますが、豆そのものの甘さ、苦さ、渋さ、酸っぱさをダイレクトに楽しめる、玄人好みの抽出方法といえるでしょう。(言い換えると、いい豆かわるい豆かがはっきり分かる淹れかたでもあります)

では、さっそく説明していきましょう。

部品構成はたったこれだけ。シンプルです。金網のついたプランジャー(左)、ビーカー(右)。

プランジャーの金網部のアップ。この部分がフィルターの役割をはたします。
ここは分解できるので、汚れがたまったらバラバラにして洗浄可能。

事前にビーカーをお湯で暖めておきます。準備できたら挽きたての珈琲豆(15~17g)を投入(挽きたてというのが、いつもの秘訣!)。
なるべく金網を通り抜ける豆を少なくするため、豆は中粗挽き~粗挽きがいいでしょう。

90度程度のお湯を150cc計量します。ビーカーに目盛りがついていないのでしっかり計りましょう。

お湯を投入。最初は少し浸るくらいにし、スプーンなどで優しく混ぜて30秒ほどなじませます。

なじませおわったら、お湯を全量注ぎます。

プランジャーを上げた状態で、タイマーで3分計ります。

3分たったら、プランジャーをゆっくり押し下げます。

抽出液の色味が分かりやすいように、ガラスのコップに注いでみました。少し濁っているのが分かると思います。

カップに注ぐとこんな感じになります。コク・旨味成分の油も浮いています。
飲み終わりには、カップの底に少し粉が残ります。

 では次に、エアロプレスのご紹介。

2.エアロプレス――空気圧を使った新しい抽出器具

 空気圧を利用した、比較的新しい珈琲抽出器具です。大きな注射器というか空気鉄砲というか、そんなピストン構造をもっています。シリンダーと呼ばれる筒部分に珈琲豆とお湯を入れて、ゴムのパッキンのついたプランジャーと呼ばれるピストンを押して圧力をかけると、紙のフィルターを通して珈琲液が抽出されるというしくみです。

 豆とお湯の量や温度、時間を守ると、初心者でもペーパードリップと比べて安定した味の珈琲を淹れることができます。これで淹れた珈琲はクリアなのですが、その圧力によって油分も少し抽出される――つまりペーパードリップよりコクの豊かな珈琲が淹れられる、ペーパードリップとフレンチプレスのいいとこ取りをしたような器具です。また、抽出にかかる時間が短く、手早くおいしい珈琲が飲めるのも特徴です。

 *メーカーが推奨する正規の淹れかたではなく、今回は「倒立法(インヴァート法)」と呼ばれる、プロがよく使う方法をご紹介します。正規のと比べて、より安定した味の珈琲が簡単に淹れられます。

 では、淹れかたを説明してみます。

左からプランジャー、シリンダー、フィルターホルダー、専用紙フィルター。
シリンダーには1~4の数字が振られています。

このようにプランジャーをシリンダーに差し込み、ゴムパッキンの部分を4あたりにセット。
倒立法というのは、ピストンを上下逆に倒立させて使うからそう呼ばれているようです。

挽きたての珈琲豆(12~15g)をシリンダーへ。挽き目はひとまず中挽きくらいで試してみてください。

そこに、85度くらいに少し冷ましたお湯を注ぎます。まずは豆が浸るぐらいのお湯を入れて、

やさしくかき混ぜます。

少しなじませます。

残りのお湯を、1の目印くらいまで注ぎます。30秒~1分ほど蒸らすのでタイマーで計測。

付属の紙フィルターを、

フィルターホルダーに置いて、

シリンダーにセット。さて、抽出の準備ができました。時間が計れたら次へ。

湯煎したサーバー(コップなど)に、フィルター側を下にして置き、上からこうやって押し出します。
このとき、丈夫なサーバーを使用してください。弱いガラス製などだと、上からの圧力に負けて破損することがあります。

完成。少し油分が浮いているのが分かりますか。
普通のペーパードリップでは、油分はほとんど出ません。抽出液そのものはペーパードリップと同様にクリアです。

はい、スイーツとあわせていただきま~す!

 いかがでしたか?
 ここで紹介した分量は目安ですので、珈琲豆の挽き目や量、お湯の温度、蒸らし時間などを変えて自分好みの味を見つけてみてください。また、今回紹介した2つの器具以外にも、直火式エスプレッソやネルドリップ、サイフォン、パーコレーター、トルコ式、ベトナム式などたくさんの淹れかたがあります。仕上がりもまたそれぞれ個性的ですので、いちど挑戦してみてはいかがでしょうか?

 では、また来月お会いしましょう!

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Kitchen 313 Kamiyuge

元・横浜市民で編集者・ライター・珈琲焙煎家の宮畑周平と、料理研究家の真紀による、「おいしいもの」づくりユニット。2010年に瀬戸内海の離島・弓削島に移住、築およそ100年の古民家で暮らす。子ども3人を育てつつ、14年に自宅の蔵をリノベして工房にし、そこを拠点に活動中。

〒794-2503 愛媛県越智郡上島町弓削上弓削313 (Google Map)
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